介護職が働く現場には、介護サービス利用者を直接介助する介護スタッフ以外にも、ケアマネージャーや作業療法士のほか、医師や看護師など様々な職種のスタッフがいる。
ケアマネージャーは、利用者やその家族と面談して、要介護度の認定のサポートや介護施設の紹介といった業務に携わるスタッフで、介護経験を持つ者も少なくない。
ケアマネージャーは、利用者の心身の状況を把握するためにも、毎日頻繁に利用者と接している介護スタッフとの連携が欠かせないだろう。
ケアマネージャーは、介護福祉士や看護師といった有資格者しか受験できない国家資格である。
したがって、介護職員初任者研修といった一般的な介護資格を持つ介護職よりも、上級資格の取得者ということになるのだ。
医師や看護師といった医療従事者も国家資格取得者で、現場では介護職に指示を与える場面が多い。
このように、現場で最も数の多い介護職が立場的に主導権を握る場面が少ないことから、他業種のスタッフとの人間関係に悩まされることが珍しくない。
専門的知識を求められる場面では、上級資格を持つスタッフの意見に従わざるを得ないのは事実である。
しかし、介護職が常に従属的な立場に立たされるのは好ましくない。
介護現場の第1線で汗を流す介護職の重要性がもっと認識されて、その意見が尊重されるようになれば、他業種のスタッフとの人間関係も円滑になり、離職者も減るだろう。
特に、様々な職種のスタッフが集まるケアカンファレンスでは、現場を最もよく知る介護職に強い発言権を与えるべきである。